2023年9月1日金曜日

復帰に向けて〜辛い思い出

 ずっと書けなかった。

主人が亡くなってからは私の中で時間が止まり、書く手が止まった。
自分の中で殻を作り、扉を閉め、鍵をかけて閉じこもっていた。
SNSと言われるものには一斎投稿せず、他人が載せた食事や家族写真などどうでもいい、、と思って開けないようにしていた。

アメリカで未亡人として生活するのに必死の毎日だった。
法律の問題、お金の問題、健康保険、息子の学校、進学、家の売却・購入、パンデミック、息をつく暇もないくらい大きな波が次から次へと押し寄せてきた。

自分のヒーリングにも時間を注いだ。ドクターから処方された抗不安剤、抗うつ剤には一斎手をつけず、カウンセリング、ヒーリング、鍼灸治療などでゆっくりと「伴侶を亡くした哀しみ」に向かい合った。息子のカウンセリングやヒーリングにも時間をかけた。

周りの友達に助けられ、主人の親戚のサポートを受け、ここまでどうにかやってこれた。

その日、私は大阪の実家にいて、朝早くからヨガのリトリートに参加する準備をしていた。
すると突然、実家の電話がなった。出ると国際電話だった。

「〇〇病院のエマージェンシーのドクターです。本来ならこう言うことは電話では話しませんが・・」と前置きがあり「あなたのご主人が亡くなりました。」と告げられた。
その瞬間に何もかもがベールに覆われた感覚になり、私の中で時間が止まった。

どうやってアメリカに戻ってきたのか、あまり覚えていない。
妹にテキストを送って、主人が亡くなったことを伝えると、彼女が飛行機の手配をしてくれて、一緒にアメリカまで着いてきてくれた。とにかく息子の元に帰らなきゃ・・とその想いだけだった。
主人のことは泡に包まれたような感覚で、直面しないように自分で覆い隠していたのだと思う。

サンフランシスコ空港で義理妹夫婦に付き添われた息子を見ると、それまで知っていた彼の顔ではないことに気がついた。
何かを悟った大人の顔をしていた。
1人で父親の最後をクリニックで見届け、さぞかし辛い思いをしたのだろう。
息子の名前を叫んで、駆け寄って強く抱きしめた。

すぐに主人の遺体に会いたかったけれど、臓器ドナーに同意していて、ラボから出されるまで5日間もかかった。その間に葬儀場所を決め、遺体に着せる服、履かせる靴、参列者に向ける英語でのスピーチ、クリスタルボウルの演奏・・などを準備した。

遺体に会うまでは怖かった。対面することで彼の「死」を認めることになる。
「嫌だー」と心の中で叫ぶと「It’s just a body (それはただの抜け殻だよ)」と主人の声がはっきりと聞こえた。その瞬間に「彼はもうスピリットの世界に逝った。」ことがわかった。

あんなに彼の声をはっきりと聞いたのは最初で最後だったけれど・・

この時、13歳だった息子は今は大学2年生になり、元気に大学生活を送っている。
6年の月日が流れた。最近、自分の中の鍵の施錠が外れ、扉を開け、殻を壊すときが来たのだと感じるようになった。

手が、心が、「書きたい」と思うようになった。

オラクルカードからのメッセージは
「入り口の扉」と「復帰」。

たくさん伝えたいことがあります。
ぼちぼちと・・始めていきます。


<6年前までスピリチュアル、ナチュラルな生活思考を書いていたブログ>
Emerald Hills California




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